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『杜少陵詩集』テキストデータ
底本
『杜少陵詩集』全4巻(『続国訳漢文大成』文学部第4巻~第7巻)
杜甫 著 鈴木虎雄(号・豹軒) 訳注
昭和3年7月 国民文庫刊行会 発行
参考資料
『杜詩詳註』全25巻(うち詩は1~23巻)および補注2巻 (文淵閣本四庫全書 所収)
清・仇兆鼇 撰 康熙32年(1693年)脱稿
解題
『杜少陵詩集』はその名の通り、杜甫(少陵は号)の詩の全作品を収録した詩集であり、京都帝大教授の鈴木虎雄(号・豹軒 1878~1963)が注釈・和訳を付している。豹軒がこの詩集を編纂するにあたって底本としたのは、清代の学者・仇兆鼇の『杜詩詳註』(以下、仇本ないし仇註と略すは『杜詩詳註』を指す)である。『杜詩詳註』は全25巻だが、そのうち詩を収録するのは巻の1から23までで、豹軒はこの23巻に従って、詩の題意を解き、語注を施し、和訳をなしている。
仇兆鼇の『杜詩詳註』は、それまでの諸家の注解の主なものを引きつつ、さらに仇氏自ら典故の説明を加えたもので、豹軒も「固より猶ほ疑ふべき箇所尠からざるも、杜詩の出典の説明に於ては蓋し最も詳備なるものといふべし」と高く評価する。一方で、例言に「但本文に於て字誤、又は是ニ非ズと考へたる字には、必ずしも從はざるものあり」と述べるとおり、仇本の字を改め、仇氏の解に駁する箇所が頻繁に見られる。この点については、後にあらためて触れる。
なお、豹軒の『杜少陵詩集』は、同じ内容のものが形を変えて幾度か発行されている。時系列に従えば、まず昭和3年7月に、「続国訳漢文大成」の文学部第4巻~第7巻(全4巻)として発行されている。編輯兼発行者は国民文庫刊行会だが、奥付によればこのときは非売品としての発行だったようだ。その後、昭和15年7月には、「国訳漢文大成」の第8巻、続文学部第1輯の中に丸ごと収録されている。発行は同じく国民文庫刊行会で、予約定価15円で販売されている。そして、時代がだいぶ下るが、昭和53年6月には「続国訳漢文大成 復刻愛蔵版」として、内容は同じまま書名を『杜甫全詩集』と変え、日本図書センターから全4巻で発行されている。『杜甫全詩集』は平成元年には再版もされており、昭和3年の最初の発行から60年以上経過してなお需要が絶えなかったことをうかがわせる。
データ作成の基本方針
『杜少陵詩集』は、収録された杜甫の詩はもちろん、豹軒による解説・和訳についても、すでに著作権は消滅しており、解説・和訳を含めてここに掲載したとしても法的には問題はない。しかし、本テキストデータの収録対象は飽くまで杜甫の詩そのものであるため、豹軒による解説・和訳部分は掲載の対象としない。つまり「『杜少陵詩集』収載の全作品テキストデータ」であって、「『杜少陵詩集』全文テキストデータ」ではないことにご注意いただきたい。この点、簡野道明の『和漢名詩類選評釈』や上村売剣の『絶句略解』と同様である。豹軒の解説・和訳を読みたいという方は、実物の『杜少陵詩集』に目を通していただきたい。また、『杜少陵詩集』には、杜甫が応酬唱和した相手方の詩を参考として掲載し、杜甫の詩と同様に語釈・和訳を加えているものがあるが、本テキストデータでは、それらの杜甫以外の詩については割愛した。
掲載作品の配列・内容については、基本的に底本たる豹軒の『杜少陵詩集』に従う。一方、仇兆鼇の『杜詩詳註』は豹軒が底本としたものであり、本テキストデータにとっては「底本の底本」にあたるため、随時参考にした。豹軒と仇本の間に字の異同がある場合(上述の通り、かなり頻繁にある)、備考にその事実を明記したうえで、基本的には豹軒に従うことを基本方針としたが、どうしても納得しがたい場合は仇本の字を採用したところもある。
読み下し文(訓読)についても、豹軒による訓読に従うことを基本方針としながらも、より意味を取りやすい訓読になるよう随時あらためた。さらには、豹軒(および従来の諸家)と全く異なる解釈に基づいて訓読を施したところも多々ある。その場合は、なぜそのように訓ずるのか、備考に鄙見を述べてある。もとより浅学菲才の身のなす所、誤謬を挙ぐれば僕を更えて猶お数え難からんこと覚悟の上であり、諸賢の高覧を得て、その指摘、批正を須つこと甚だ切である。
当初、備考についてはなるべく簡素にしたいと考え、語釈等も最小限にとどめるつもりであったが、上で述べたように、訓読を付す以上、なぜそのように訓ずるのかを読む方々に納得してもらうためには、どうしても語釈を含む補足説明が必要となる。掲載作業を進めるほどにそのことを痛感するようになり、当初の意向に反して備考の分量が増していった。中には冗長の謗りを免れない説明もあるとは思うがご容赦いただきたい。なお、語釈についても、諸説併存するもの多々あり、豹軒が仇註の解を批判する例も決して少なくない。そのような場合、やはり豹軒の説に従うことを基本方針にしつつ、納得できない場合は、仇註等の他の説、あるいは鄙見による独自の説に従ったところもある。この点、訓読と同様であり、語釈と訓読が不可分である以上、当然そうなるものである。
データの利用方法
これはどのテキストデータに関しても述べていることだが、本テキストデータは基本的に閲読目的で利用していただくことを想定している。語句検索をしたい場合は、「漢詩データベース検索 CanD」を利用してもらうほうが良い。異体字を含めて検索したり、パターンマッチング検索もできる。しかし、収録データを順番に全部読んでいきたい、という希望は、検索ツールでは満たしようがないから、そのような場合に利用していただくために、収録データをそのまま掲載しているのが、本テキストデータなのである。
もし、どうしても、当テキストデータ内を「Ctrl+F」で検索したいという場合は、字体の違いには留意していただきたい。当テキストデータでは、白文は正字を、書き下し文は常用漢字を用いている。字体が異なれば「Ctrl+F」では検索にヒットしない。
本文テキスト
本文テキストは、以下のとおりページを分けて掲載する。全体一括して掲載すると、編集画面が著しく重くなるためである。
続く
